価値観の相違        (口約束と契約)

我々は海外にて商品開発を行い、外国貨物を日本に輸入し、国内貨物としてお客様に販売させて頂いております。

日本はほとんどの人たちが同一の価値観をもち、意志の疎通が比較的しやすい国だと思います。

 

売り手と買い手は全く相反する立場です。売り手は高く売りたいと考えますし、買い手は安く買いたいと考えます。

互いに相談、調整を行い、価格が決定されます。また同時に他の条件も調整を行い決定されていきます。その決定は約束され守られなければならない事として共通認識されます。

 

その際の約束を弊社では、出来るだけ契約書の形でとりまとめます。

これは、取決め時点では、両者にて共通の認識であったものが、状況が変わり、担当者が変わると共通の認識に相違が発生し、約束が守れなくなる事があるからです。人はみな自分の都合の良いように理解し、解釈し、相手に要求します。こういった事がないように約束をした時点で十分に打ち合わせを行い、契約書、確認書を取り交わします。

 

最近では日々の仕事でもこういった確認書が頂けるようなりましたが、以前は“私が言っているのだから、間違いありません。確認書などは作成しません。”という口約束が普通でした。

日本では、それで通用したのです。皆が約束したら守るもの、諸条件についても、ほぼ同一の価値観を持ちえたからです。

しかしながら、弊社で開発し新商品を作り、輸入してお取引させて頂くのは海外の外国貨物です。海外の取引先は、言語も異なりますし、持っている価値観にも違いがあります。必ず英文の契約書を取り交わします。

日本語で、曖昧なところも英文であれば、明確に表現できるからです。

1995年の契約に≪栗の取引≫がありました。

韓国の原料栗(日本種)を中国の山東省で一次加工(栗を剝皮し、ダイヤモンドカットにする手作業加工)し、日本へ輸入する加工貿易でした。栗の手むき作業は1人8時間で5.0~8.0 kgしか剥き栗に出来ません。

原料栗200トンの加工を1か月間で完了する計画でした。1,000名で約5,000 kg/日、2日で10,000 kgです。生鮮の栗ですから、すぐに加工しなければなりません。女性作業者500名で2,500kg x 40日間です。1,000名 x 20日間で完了です。

必要な作業員が最低500名~1,000名である事や加工の手順等を打ち合わせし、契約しました。この契約書は英語と中国語で作成しました。細部に認識不備があれば、困るためです。

8月にスタートし、9月に加工が始まり、10月には終了です。

ところが、工場の立地している地域は農村部であり、栗の加工時期が農繁期と重なります。その旨の打ち合わせも事前に行っており、人員の確保も契約しておりましたが、稲刈りが忙しくなると、作業員は工場へ出て来ませんでした。原料栗は生きていますから、成長します。そのままに出来ません。

工場の経営者とその村の村長さんと解決策を相談しました。

翌日、整列した軍隊が工場へやってきました。小生の指導で栗を剥いてくれたのです。軍人は皆、若くまじめに作業を行ってくれました。そして、作業が終わると、整列をして帰隊しました。そのような日が数日間続き、女性作業者も稲刈りより戻ってきて、無事に約束通り、栗剥き作業が完了しました。

この様なことは日本では考えられませんでした。

[現地の栗の産地です。]

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[皮剥き加工の栗です。]

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[甘露煮の栗の選別です。]

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[栗甘露煮を原料とした弊社の栗の商品です。]

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海外での取引において最も重要な問題は、価値観の相違です。習慣の違いです。意識の違いです。文化の違いでした。

その違いを互いにすりあわせ、調整し、合意します。そして、契約を行います。

そこには、両者に少なくとも当事者である自分自身に“その仕事をやり遂げる”という強い意志が必要です。

自分の意志を持たずに仕事を仕上げることは出来ません。

打合せを行い、契約するのは、意志に基づいた仕事を行うためです。調整し、契約するのが目的ではありません。

もちろんその仕事が正しく、その国の社会のためになるものでなければなりません。強い意志は正しく誇りをもてる仕事から生まれるものです。

そのしっかりした意志の実行のためには両者、両国の持つ価値観の相違、文化の違いを認識し、互いに尊重し、説得しやり遂げていかなければなりません。

 

弊社はこれからも様々な国で様々な人たちと協力し、仕事を行っていくことになります。コミュニケーションを良くし、価値観の相違、文化の違いを乗り越えて協力し共同で仕事を行っていきたいと思います。

末永い付き合いのできる友人を作るため、豊かな人生をつくるためにも、より良い仕事を行って参ります。